
【人事担当者向け】社内チャットツール利用のルール作成と法的注意点
はじめに
テレワークやモバイルワークの普及で、社内コミュニケーションはLINEやSlack、Chatworkなどのチャットツールが主流になりました。しかし、便利な反面、勤務時間外のチャット対応が労働時間や心理的ストレスの領域に関わる重要な問題になることがあります。勤務時間外でも「返信するのが普通」と曖昧にしておくと、会社の指揮命令下にあるとみなされ、残業認定やトラブルの元になることもあります。
労働時間性の判断基準:チャットはどこまで「労働」となるのか?
労働時間とは「使用者の指揮命令下にある時間」とされます。つまり、勤務時間外にチャットで返信を求めるメッセージが来た場合、会社からの指揮命令に該当し、労働時間として認定される可能性が高いです。一方、返信の必要がなく、業務時間内に対応すればよいというスタンスであれば、指揮命令とみなされず労働時間とはなりません。
就業規則・運用ルール整備のポイント
項目 | 内容 |
---|---|
業務連絡ツールの指定 | 業務用チャットツール(Slack等)の使用を原則とし、私的ツール(LINEなど)での業務連絡は禁止する。 |
勤務時間外の送信制限 | 業務時間外や休日の連絡は原則禁止とする。ただし緊急時を除く。 |
ログの保存・証拠管理 | チャット履歴は保存範囲や期間を定め、証拠となり得るため管理を明確に。 |
強制禁止の明確化 | 「返信は勤務時間内で行う」など、明示的に禁止事項を規定しておく。 |
チャットツール導入時のポイント
- 就業規則へのチャット利用規定を追加する。
- 「夜間の返信禁止」「業務連絡は原則業務時間内」など、明確なルール設計を行う。
- 労使の納得を得るため、運用前の説明会や社内周知を行う。
まとめ:チャット対応は「ルール化」が鍵
チャットツールは働き方に柔軟性をもたらしますが、そのまま放置すると残業認定や働く上でのストレスにつながるリスクがあります。就業規則とチャット運用ルールの整備で、企業と従業員を守る土台づくりを進めましょう。
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