【要注意】未成年(年少者)を雇用する場合の注意点とは?
未成年者を雇用する場合の注意点
学生アルバイトや若手人材の採用は、中小企業にとって重要な戦力確保の手段です。しかし、未成年者(年少者)を雇用するには、成人労働者とは異なる法令上の制約や安全配慮義務があります。本コラムでは、企業が未成年者を雇用する際の注意点をわかりやすく整理します。
労基法上の制限を受ける対象者とは?
労働基準法上、満15歳に達した日以後最初の3月31日までの者は「児童」、満18歳未満は「年少者」と呼ばれ、特別な保護規定が設けられています。
1. 年齢確認と証明書の備付け
未成年者を雇用する際には、必ず公的証明書(住民票記載事項証明書など)によって年齢を確認し、事業場に備え付けることが法律上の義務です。年齢を自己申告だけで判断してしまうと、後に労働基準法違反となるリスクがあります。
2. 雇用契約は本人との合意で
未成年者との雇用契約は本人との合意で締結しなければならず、保護者や後見人が代わりに契約を結ぶことは禁止されています。これは、未成年者が強制的に働かされないよう保護するためです。
3. 年少者の労働時間・深夜業の制限
年少者(18歳未満)には、労働時間や深夜業に関する以下の制限があります。これらは本人と合意があったとしても禁止されていますので、注意が必要です。
- 深夜(午後10時〜午前5時)の就労は禁止
- 時間外労働・休日労働は原則禁止
- 変形労働時間制による労働の禁止(以下の場合を除く)
① 1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内で、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合において、他の日の労働時間を10時間まで延長すること
② 1週間48時間、1日8時間を超えない範囲内において、1か月又は1年単位の変形労働時間制を適用して労働させること
4. 児童の労働は原則禁止
満15歳に達した日以後最初の3月31日までの児童は、原則として労働者として使用することが禁止されています。例外的に満13歳以上の児童については、非工業的業種に限り①健康及び福祉に有害でないこと、②労働が軽易であること、③修学時間外に使用すること、④所轄労働基準監督署長の許可を得ること等により使用することができます。また、満13歳未満の児童については、映画の製作又は演劇の事業に限り、上記の①~④の条件を満たした上で使用することができます。
5. 危険・有害業務の禁止
年少者に対しては、危険有害な業務への従事も禁止されています。重量物運搬、重機の操作、有害物質の取り扱い等は、年少者に任せてはいけません。こうした業務に就かせると労働基準法違反となるおそれがあります。
6. 保護者の同意と学校側の確認
雇用契約自体は本人との合意で締結する必要がありますが、実務上は保護者の同意書や学校側の確認書を取得しておくと、学業との両立やトラブル防止に役立ちます。学校側がアルバイトを制限している場合もあるため、確認を怠らないようにしましょう。
7. 賃金支払いは本人に直接
賃金は未成年者本人に直接支払う必要があります。保護者等に支払うことは原則として禁止されています。また、最低賃金制度は年齢に関係なく適用されるため、地域ごとの最低賃金以上の賃金を設定することが必要です。
8. 労働条件の明示と書面交付
未成年者を雇用する際には、他の労働者と同様に、労働条件(労働時間、賃金、休日・休暇等)を明示した書面を交付する義務があります。書面で労働条件を明らかにしておくことで、後のトラブル防止につながります。
9. 違反した場合のリスク
未成年者の保護規定に違反すると、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金等の刑事罰が科される可能性があります。また、行政による是正勧告や企業名公表といった社会的ダメージを受けるリスクもありますので、注意しましょう。
まとめ:法令遵守と安全配慮の徹底を
未成年者を雇用すること自体は労働力の確保や人材育成に有効な手段ですが、法令上の規制は成人労働者よりも厳格です。年齢確認、労働条件の管理、危険業務の排除、賃金支払いといった基本的な対応を徹底し、未成年者が安心して働ける職場環境を整えることが重要です。
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