
【2025年版】最低賃金の目安が公表されました!
2025年度(令和7年度)の最低賃金改定の目安が、厚生労働省の中央最低賃金審議会から公表されました。全国平均の引き上げ額は63円。これは目安制度が始まった1978年(昭和53年)以来、最大の上げ幅となります。最低賃金上昇による企業の実務対応のポイントをわかりやすく解説します。
1. 2025年度の最低賃金、どれだけ上がる?
2025年度の引き上げ目安額は以下の通りです。
- Aランク(例:東京、大阪など)…63円
- Bランク(例:広島、福岡など)…63円
- Cランク(例:高知、熊本など)…64円
仮に目安通り改定された場合、全国加重平均は1,118円。2024年度(1,055円)と比べて、過去最大の63円引き上げになります。
2. 中国・四国・九州エリアの改定見込み
下記は一部都道府県の最低賃金の現行額と、2025年度の目安額(予想)です。
地域 | 2024年度 最低賃金 | 引き上げ目安 | 2025年度 目安(予想) |
---|---|---|---|
広島県 | 1,020円 | +63円 | 1,083円 |
岡山県 | 982円 | +63円 | 1,045円 |
香川県 | 970円 | +63円 | 1,033円 |
徳島県 | 980円 | +63円 | 1,043円 |
愛媛県 | 956円 | +63円 | 1,019円 |
高知県 | 952円 | +64円 | 1,016円 |
福岡県 | 992円 | +63円 | 1,055円 |
熊本県 | 952円 | +64円 | 1,016円 |
大分県 | 954円 | +64円 | 1,018円 |
3. 何を準備すべき?
例えば広島県で最低賃金が1,083円となった場合、現在時給1,020円のパート従業員が月100時間働くと、月額で6,300円、年額で75,600円の人件費増となります。
給与が最低賃金を下回らないよう、次のような点をチェックしておきましょう:
- 月給者の時給換算が最低賃金を上回っているか(月給÷1箇月平均所定労働時間)
- 最低賃金の対象とならない手当などを除いた賃金額で判断しているか【最低賃金の対象とならない賃金】(1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2)1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当 - 特定適用事業所については、社会保険の加入基準(週20時間以上、月88,000円以上等)に該当する従業員が増えないか
4. 実務対応のポイント
給与体系の見直し
近年の最低賃金の上昇により、月給者も最低賃金を下回るケースが増えています。最低賃金を下回る従業員がいないか早めに確認しましょう。
社会保険の加入判断、健康保険の扶養から外れないか
時給アップにより、特定適用事業所では加入対象となるパート・アルバイトが出てくるケースもあります。また、時給アップにより、健康保険の扶養に入れる収入要件を超えてしまうケースも出てくる可能性があります。就労時間を短くするなどの対応をパート・アルバイトが希望することで人手不足が加速する可能性もありますので、早めに面談を実施するなどの対応をとりましょう。
助成金の活用も検討を
「業務改善助成金」など、最低賃金引き上げに伴う負担を軽減する制度も用意されています。条件に合致すれば、設備投資や研修などに活用できます。
5. まとめ
今回の引き上げは、企業経営にとって大きなインパクトがあります。
今後は、各都道府県の地方審議会を経て、正式な金額・適用日が発表される予定ですが、例年10月から新しい最低賃金が適用されます。企業にとっては、10月の適用に備えて、早めの準備と対応がカギとなります。
社会保険労務士法人テトラでは、最低賃金対応や就業規則の見直し、助成金申請支援など、企業の実務を多面的にサポートしています。お気軽にご相談ください。
この記事へのコメントはありません。