他の会社はどうしてる?最低賃金への対応に関するアンケート調査が公表
全国的に引き上げが進む最低賃金。企業では「自社ではどう対応すべきか」という検討が急務になっています。
東京商工リサーチ(TSR)が実施したアンケート調査では、「給与改定」や「価格転嫁」などに取り組む企業の実態が明らかになりました。
本コラムでは、調査から読み取れる“他社の対応状況”を整理し、経営者・人事労務担当者として押さえておくべきポイントをご紹介します。
調査から読み取れる主な「企業の実態」
(TSR「最低賃金の改定、企業の約6割が『給与を変更』」より抜粋)
- 約6割の企業が「給与を引き上げ・改定する」と回答
→ 56.7%の企業が改定対応を行うと報告。 - 最低賃金を超えていない時給での雇用が、約2割強存在
→ 引き上げ後の水準未満の時給での雇用が27.1%の企業で確認されました。 - 「時給1,500円」実現は困難とする企業が約半数
→ 5年以内に1,500円達成は「不可能」とする企業が49.2%。 - 対応策として最多は「価格転嫁」次いで「設備投資・生産性向上」
→ 39.1%が「価格への転嫁」、20.1%が「設備投資による生産性向上」を検討。
経営者・人事視点で押さえておきたい3つのポイント
① 自社時給水準のチェックと「最低賃金クリア」の確保
自社の採用・雇用時の時給が「引き上げ後の最低賃金」を下回っていないか確認を。
違反のまま放置すると、最低賃金法違反に問われる可能性があります。
② 引き上げで生じるコストのカバー策を検討する
人件費増をカバーするための対策としては「価格転嫁」「生産性向上」「残業抑制」などが有効です。
価格転嫁は取引先との交渉、設備投資は費用対効果の試算など、慎重な検討が必要です。
③ 将来目標(例:時給1,500円達成)をどう描くか
時給1,500円の実現には、多くの企業が困難を感じています。
自社としては中期的な賃金計画を立て、収益・生産性・価格戦略などとセットで検討することが求められます。
まとめ:他社の動きを知って、自社対応を早めに整理しよう
今回のTSR調査からは、「最低賃金の引き上げが企業にとって避けられない課題である」ことが明確になりました。
特に中小企業では、コスト構造の見直しと早期の対応が不可欠です。
「他社はどうしているのか?」という視点を取り入れつつ、“自社の現状と対応方針”を早めに整理しておきましょう。
最低賃金の引き上げ対応は、単なる「時給調整」にとどまらず、企業全体の労務管理や人件費戦略にも関わる重要テーマです。
貴社の状況に合った最適な対応を一緒に考えていきましょう。
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