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労務トラブルQ&A~忘年会への参加時間は労働時間になる?~

Q.弊社では、毎年忘年会を実施しています。従業員の忘年会への参加は任意ですが、忘年会へ参加した時間は労働時間になるのでしょうか?また、宴会の準備等を行う幹事は、新入社員の中から会社が指名しているのですが、当該新入社員より「幹事として動いた時間は労働時間にならないのですか?」と質問がありました。たしかに宴会での出し物の準備や店の手配など所定労働時間外に動いてもらった時間はあるのですが、労働時間に当たるのでしょうか?

A.参加が任意の忘年会への参加時間は労働時間に当たりません。一方で、参加が強制されている忘年会の参加時間は労働時間に当たる可能性が高いです。また、会社から任命されて幹事として稼働する時間についても労働時間に当たる可能性が高いです。

忘年会への参加時間の取り扱いとは?

「労働時間」とは、判例で、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義されています。また、労働時間に当たるかどうかは、労働者と会社の取り決めによらず、客観的に判断されます。

例として、来客対応のために待機している時間(いわゆる「手待ち時間」)や参加が必須のミーティング、研修、社内行事などの時間は、労働義務から解放されているとは言えず、「労働時間」とされる可能性が高いです。一方で忘年会等も含め参加が任意の場合は「指揮命令下に置かれている」と判断されないため、参加が任意の忘年会への参加時間は原則労働時間には当たりません。

忘年会の幹事として動く時間の取り扱いは?

忘年会への参加時間や幹事として動く時間の取り扱いを考える上で、以下の行政解釈が参考になります。
「単なる懇親を主とする宴会は、その席において何らかの業務の話題があり、また業務の円滑な運営に寄与するものがあったとしてもその席に出席することは、特命によって宴会の準備等を命ぜられた者、または、出席者の送迎にあたる自動車運転手等のほかは原則としてこれを業務とみることはできない。」(昭和45.6.10裁決)

上記内容を踏まえると、以下のようなケースは労働時間に当たる可能性が高いと言えます。
・会社から指名して幹事として準備、運営等で動いてもらう時間
・出席者のために自動車で送迎する時間

まとめ

今回は忘年会に関する労働時間の考え方を取り上げましたが、企業が忘年会への対応を考える上で重要なのは「労働時間に当たるか?」ではなく、福利厚生や社員間のコミュニケーションの円滑化など「忘年会を行うそもそもの目的を達成できるか?」です。例えば全員に参加してもらうほうが目的達成に近づくなら、ランチの時間帯に行ったり、ケータリングを利用して会社内で所定労働時間内にみんなで食事することも柔軟に検討出来るかと思います。また、毎年恒例の出し物があり、企業文化としても重要であれば、幹事やその準備等は所定労働時間内に行う事を認めるなどの対応もあり得るでしょう。

コロナ禍もあり、忘年会などの懇親会を社内で実施する企業は減少しているかもしれませんが、自社の社内行事の状況も一度確認されてみてください。

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