「BCP、作っていますか?」豪雨が増える今こそ考えたい事業継続計画と策定支援
令和8年も、全国で記録的な大雨が相次いでいます
令和8年(2026年)も、「令和8年8月千葉豪雨」から9月の東海・関東まで、線状降水帯による記録的な大雨が全国各地で発生しました。広島県も豪雨により繰り返し甚大な被害を受けてきた地域です。
こうした災害は「いつか」ではなく「いつでも」起こり得ます。そこで経営者の皆さまに一度立ち止まって考えていただきたいのが——「もし明日、豪雨や地震で会社が被災したら、事業を続けられますか?」「BCP(事業継続計画)は作っていますか?」という問いです。
そもそもBCP(事業継続計画)とは?
BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)とは、自然災害・感染症・サイバー攻撃・サプライチェーンの途絶など、自社に影響を及ぼす「脅威」に対して、平常時に分析・対策を行い、非常時には事業を早期に復旧させるための行動計画書です。
【防災とBCPのちがい】
- 防災:人命・建物・設備を「守る」ことが中心
- BCP:被災しても「事業を止めない・早期に立て直す」ことが中心(優先して復旧する事業や、その手順を決めておく)
さらに、作ったBCPを訓練・見直しで「使えるBCP」に育てていく継続的な活動をBCM(事業継続マネジメント)と呼びます。
なぜ今、BCPが必要なのか
BCPを整えておくことには、緊急時だけでなく平常時にもメリットがあります。
- 被害の軽減と早期復旧:脅威発生時の対応力・復旧力(レジリエンス)が高まります。
- 取引先からの信頼向上:供給責任を果たせる体制は、取引先からの信頼につながります。近年は取引先からBCP策定を求められるケースも増えています。
- 業務の棚卸し・効率化:優先する事業を分析する過程で、業務内容の見直しや属人化の解消が進みます。
- 差別化・新規開拓:災害に強い企業であることは、競合との差別化材料になります。
「必要なのはわかるが、何から手をつければいいか分からない」——そんな企業を後押しするのが、行政などによる無料の策定支援です。ここでは広島県の取り組みを例にご紹介します。
【例】広島県の「BCP策定等支援事業」
広島県では、県内企業のBCP策定を支援する「広島県BCP策定等支援事業」を実施し、専門コンサルタントによるセミナーや策定講座などを開催しています。参加費はいずれも無料で、県内に本社・事業所・店舗等を有する事業者であれば、事業規模を問わず利用できます。
支援は「知る → 策定する → 検証する」の3ステップで構成されています。
① BCPを「知る」:啓発セミナー
BCPの目的・意義、防災との違い、策定のポイントなどを分かりやすく解説します。地震・風水害・感染症などの発動事例や、サイバー攻撃への対応にも触れます。
② BCPを「策定する」:策定講座(1日/半日コース)
- 1日受講コース:全様式を網羅する本格的な講座。ひな型に沿って具体的に策定します。内容は国際規格ISO22301に準拠し、中小企業庁の「事業継続力強化計画」の認定に必要な内容も網羅しています。
- 半日受講コース:まず簡単なステップで「ダイジェスト版BCP」を作る講座。単一事業・単一拠点・概ね20名以下の小規模事業者や、「まず第一歩を踏み出したい」企業向けです。
受講者には、専門コンサルタント作成の「BCPのひな型」「策定のポイント集」が提供され、相談窓口も利用できるようになります。
③ BCPを「検証する」:検証演習(机上・実動)
作ったBCPが本当に機能するかを、災害シナリオに基づく机上演習や、施設を使った実動演習で確認します(策定講座を受講した事業者が対象)。
グループ・サプライチェーンでの出張型支援も
企業グループや業界団体などの依頼に基づき、業種・業界に特化した内容で出張型のセミナー・講座・演習も実施しています(10社以上が目安。講師謝金・交通費は県が負担)。サプライチェーン全体でBCPの目的や知識を共有できるのが特長です。
開催スケジュール・申込方法・最新情報は、広島県の公式ページでご確認ください。
広島県 公式ページ(企業向けBCP策定等支援):
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/70/bcp.html
お問い合わせ:広島県 商工労働局 中小企業支援課(TEL 082-513-3355)
広島県以外にも、同様の支援があります
BCP策定を後押しする無料の支援は、広島県に限りません。多くの都道府県や、各地の商工会議所・商工会、中小企業基盤整備機構(中小機構)、経済産業局などが、セミナー・策定ワークショップ・専門家派遣・相談対応といった支援を行っています。
広島県外の事業者の方は、お住まいの都道府県名+「BCP 策定支援」で検索したり、最寄りの商工会議所・商工会に問い合わせてみてください。
あわせて知っておきたい「事業継続力強化計画」認定制度
より手軽に始めたい場合は、中小企業庁の「事業継続力強化計画」認定制度も選択肢です。これは中小企業が策定した防災・減災の事前対策計画を国が認定する、いわば「中小企業のための簡易なBCP」で、認定を受けると税制優遇・金融支援・補助金の加点などのメリットがあります。詳細は中小企業庁のホームページでご確認ください。
BCPで見落とされがちな「人・労務」の備え
BCPというと設備や在庫の話に目が向きがちですが、事業を動かすのは「人」です。緊急時の従業員の安否確認、出勤・在宅勤務の判断、休業時の賃金の取り扱い、テレワークや特別休暇の規程整備など、労務面の備えもBCPの重要な要素です。こうした人・労務まわりの整備は、社会保険労務士など専門家に相談しながら進めると、実効性のある計画になりやすくなります。
まとめ
豪雨をはじめとする災害が身近になっている今、BCPは「大企業のもの」でも「余裕ができてから」でもなく、すべての事業者にとっての備えです。まずは無料のセミナーや半日講座から、できる一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
広島県内の事業者の方は県のBCP策定等支援事業を、県外の方はお住まいの地域の支援制度を、ぜひ一度確認してみてください。
ご不明な点がございましたらお気軽にご連絡ください。