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給与計算の基礎知識~税法上の扶養と健康保険法上の扶養の違いとは?~

年末が近づくにつれ、パート従業員の方より「扶養の範囲で働きたいので勤務を調整したい」という相談を受ける企業様は多いと思います。この時、当該従業員の方が話す「扶養」が所得税の扶養親族を指しているのか、健康保険の被扶養者のことを指しているのかにより、取り扱いが異なりますので、以下でちがいをまとめてみます。
※以下の内容は執筆日時点での法令に準拠しています。

所得税と健康保険の扶養のちがい一覧

所得税の扶養親族 健康保険の被扶養者
扶養に入るメリット 一定の金額の所得控除が受けられる 健康保険料の負担なし

(国民年金の第3号被保険者に該当する場合)国民年金保険料の負担なし

収入要件 給与収入の場合、年間103万円以下 ・年間130万円未満 (60歳以上・障害者の方は180万円未満)

・月額108,334円未満 (60歳以上・障害者の方は150,000円未満)

・日額3,612円未満 (60歳以上・障害者の方は5,000円未満)

かつ

・被保険者の年収の2分の1未満

・別居の場合は被保険者からの仕送り額より少ないこと

上記収入の確認期間 ・1月1日から12月31日(その年の12月31日現在の年間収入実績で判断)

例:家族の被扶養者となっていた大学生が、4月1日より就職後、8月31日に退職。その後当該年に収入がなく年間収入が103万円以下の場合扶養親族になれる。

・見込額により判断します。

例:家族の被扶養者となっていた大学生が、4月1日より就職し、月額108,334円以上の労働労働条件で雇用契約を結んだ場合、4月1日時点で被扶養者を外れる。

収入の範囲 非課税の収入は含まない。(非課税枠内の通勤手当・失業給付・出産手当金・傷病手当金など) 一時的な収入を除き、継続的な収入(年金、失業給付など)は原則すべて含まれる。
家族の範囲 納税者と生計を一にしている配偶者であること(内縁関係の人は不該当)。

配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます。)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。

主として被保険者の収入で生計を維持している3親等内の親族(内縁の配偶者含む)、内縁の配偶者の父母と子、内縁の配偶者死亡後の父母と子

※続柄により同居の条件あり

年齢の要件 その年の12月31日時点で16歳以上 75歳未満

※75歳以上は後期高齢者医療制度の対象となるため

参考:国税庁「No.1191 配偶者控除」、国税庁「No.1195 配偶者特別控除」、全国健康保険協会「被扶養者とは?

※健康保険法上の被扶養者の要件については、被保険者の加入する健康保険組合により取り扱いが異なる場合があります。詳細は各健康保険組合にお問い合わせください。

※上記表は一般的な事項になります。詳細は各種行政官庁へお問い合わせください。

 

扶養に入らないと損なのか?

上記では、扶養に入るメリット、各種要件を整理しました。扶養に入ることができる収入の方の場合、もちろん扶養に入るほうがお得になります。(上記表のメリット以外に、扶養に入ることで納税者または被保険者の勤める企業から家族手当などが支給される可能性もあります。)

ただし、扶養に入れる範囲以上の収入を得ることで手取りは増える可能性があり、自身が社会保険に加入することで傷病手当金、出産手当金の支給対象となることがあります。また、厚生年金に加入することで将来の年金額も増額します。

扶養に入る範囲で働くか、それ以上に働くかは上記それぞれのメリットを考慮し、世帯収入やライフプランをもとに決めるべきかと思います。

企業目線では年末の忙しい時期に勤務してもらえないのは困るケースもあると思いますので、入社の時点で勤務可能な時間や収入の範囲など事前に確認しておくべきでしょう。

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