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給与計算の基礎知識~手当の過払いが発覚した場合の注意点とは?~

給与計算は、様々な計算の積み重ねです。
給与は従業員の方の生活に直結するため、ミスは許されませんが、人が給与計算をする以上ミスは起こります。
大切なことは、ミスが発覚した際に正しい処理をを行うこととミスが起きない仕組みづくりを行うことです。
今回は、手当を誤って多く支給してしまった場合の処理について解説します。

・修正のステップ

ステップ① 正しい金額との差額を確定する

ステップ② 控除額(雇用保険料、源泉所得税)に影響がないか確認する

ステップ③ 修正額を清算する

特に注意が必要なのは、②、③です。

②については、課税対象の手当を過払いしている場合、源泉所得税が本来よりも多くなっている可能性があります。また、対象の従業員の方が雇用保険の加入者である場合は、雇用保険の計算も誤っている可能性がありますのできちんと確認しましょう。

ステップ②までで正しい金額が確定した場合は実際に清算を行います。詳細は次項で説明します。

・差額清算時の注意点

差額の回収については、まずは従業員本人に事情を説明して状況を理解してもらう必要があるでしょう。その後、金額等の状況や当該従業員の希望等に応じて、対応を検討します。

当月中の修正が間に合わない場合、次月の給与で調整するケースも多いですが、次月の給与から天引きする場合は労基法の観点から注意が必要です。

給与には全額支払うのが大原則のため、会社が一方的に天引きすることはできません。これに対して、過払い分の賃金を控除する内容を定めた労使協定を事前に締結し、従業員本人の同意を得ることで例外的に天引きを行うことが可能となります。また、仮に労使協定がない場合でも、行政の通達では「前月分の過払い賃金を翌月分で精算する程度は、賃金それ自体の計算に関するものであるから、法第24条の違反とは認められない」(昭23.9.14基発第1357号)とされています。

判例では、従業員の同意がなくても生活の安定を害さない程度の控除(相殺)は認められるとするものがあります。(最一小判昭44年12月18日:福島県教組事件)

なお、この判例では、①過払い時期と清算時期が近い②あらかじめ従業員へ通知していた③清算額が多額ではないといった要素から天引きを有効としています。

同意を得ないうえでの清算はあくまでも例外的な取り扱いな上、長期間にわたって過払いが発生しているケースや金額が多額になるケースではより慎重な対応が求められます。

 

・過払いミスをしないための防止策

過払いミスを防ぐための一般的な方策は以下の通りです。

①住所変更等の申請手続きのルール化と徹底

通勤手当や扶養手当を支給している場合、住所変更や扶養家族の就職などの申請の遅れや申請漏れがあると手当額の変更が遅れる可能性があります。申請時期や提出先などルールを周知し、徹底するようにしましょう。

②給与スケジュールの見直し

給与の締め日から支給日までの期間が短いとチェック漏れが発生しやすくなります。二重チェックが可能な体制づくりなど給与計算の業務フローの見直しを実施しましょう。

③給与計算システムの導入

手書き、Excelなどを利用した給与計算はミスが発生しやすくなります。コストは発生しますが、属人性を軽減できる可能性もありますので導入を検討しましょう。

・まとめ

給与計算が責任重大な業務であることは間違いありません。

給与計算ミスが多いと会社への信頼もゆらぎかねませんので、ミスを極力減らす仕組みづくりが必要です。

給与計算に関するお困りごとがございましたら、お気軽に弊社までご相談ください。

 

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