【2026年版】最低賃金の目安が公表されました
2026年度(令和8年度)の最低賃金改定の目安が、厚生労働省の中央最低賃金審議会から公表されました。全国加重平均の上昇額は55円。過去最大だった昨年度(66円)に次ぐ大幅な引き上げとなります。最低賃金上昇による企業の実務対応のポイントをわかりやすく解説します。
2026年度の引き上げ目安額は以下の通りです。
- Aランク(例:東京、大阪など)…54円
- Bランク(例:広島、福岡など)…56円
- Cランク(例:高知、熊本など)…56円
仮に目安通り改定された場合、全国加重平均は1,176円。2025年度(1,121円)と比べて、55円の引き上げになります。引き上げ率は4.9%で、過去最大だった昨年度(66円・6.3%)は下回りました。物価上昇率が昨年より鈍化していることなどが背景にあるとされています。
今年の目安の特徴は、大都市部が中心のAランク(54円)よりも、広島を含むBランク・Cランク(ともに56円)の引き上げ額が大きいことです。地域間格差の是正と、地方で深刻化する人手不足への対応を重視した内容といえます。なお、政府が掲げてきた「全国平均1,500円」の目標時期は、2026年の骨太方針で「遅くとも2030年代前半できる限り早期に全国平均1,500円を達成する」と整理されており、今後も継続的な引き上げが見込まれます。最低賃金の上昇は数年に一度の特別対応ではなく、毎年の昇給予算・採用計画にあらかじめ織り込むべき経営条件になっています。
各都道府県の答申状況(主要県)
目安を受けて、8月から各都道府県で答申が順次進んでいます。広島県は、令和8年8月17日に56円引き上げの1,141円で答申されました。下記は、広島県の近隣(中国・四国地方)と三大都市圏の答申状況です(2026年8月19日時点)。
| 都道府県 | 現行額(2025年度) | 2026年度 答申額 |
|---|---|---|
| 広島 | 1,085円 | 1,141円 |
| 岡山 | 1,047円 | 1,104円 |
| 山口 | 1,043円 | 1,101円 |
| 鳥取 | 1,030円 | 1,090円 |
| 島根 | 1,033円 | 1,092円 |
| 香川 | 1,036円 | 1,092円 |
| 東京 | 1,226円 | 1,280円 |
| 大阪 | 1,177円 | 1,231円 |
| 愛知 | 1,140円 | 1,195円 |
答申は正式決定ではなく、この後の手続きを経て各労働局長が改定額と発効日を決定します。全都道府県の確定額は、例年9月上旬に厚生労働省が取りまとめて公表します。
参考|厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」
参考|広島労働局「広島県の最低賃金について」
最低賃金引き上げに伴う企業の実務対応
最低賃金は、正社員はもちろん、パート・アルバイト・契約社員など、雇用形態を問わずすべての労働者に適用されます。改定にあたって、企業は以下の対応を確認しておく必要があります。
1. 現在の賃金が最低賃金を下回っていないか確認する
時給者だけでなく、月給者も「月給額÷月平均所定労働時間」で時間額に換算して確認します。このとき、精皆勤手当・通勤手当・家族手当、時間外・休日・深夜の割増賃金、賞与などは最低賃金の計算に算入しない点に注意が必要です。
2. 発効日をまたぐ給与計算に注意する
最低賃金の発効日は都道府県ごとに異なり、全国一律の10月1日ではありません。広島県の昨年度の発効日は11月1日でした。発効日をまたぐ給与計算期間では、発効日前の労働分は旧額、発効日以降の労働分は新額を適用します(計算の手間を省くため、期間全体を新額で計算・支給しても差し支えありません)。複数の都道府県に事業場がある企業は、従業員が実際に働く事業場ごとの最低賃金で管理してください。
3. 賃金バランス全体を見直す
最低賃金近傍の従業員だけを引き上げると、先輩社員や役職者との賃金差が縮まり、不公平感やモチベーション低下を招きます。パート・アルバイトの時給改定とあわせて、初任給や既存社員の賃金テーブル全体のバランスを点検することが重要です。
4. 支援策(助成金)を活用する
事業場内の最低賃金を引き上げ、生産性向上のための設備投資等を行う中小企業は「業務改善助成金」の対象となる場合があります。人件費増加への備えとして、活用をご検討ください。制度の詳細・最新の要件は厚生労働省のサイトでご確認ください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 目安額はそのまま自県の最低賃金になるのですか?
A. 目安は国が示す参考値で、実際の改定額は各都道府県の地方最低賃金審議会の答申を経て労働局長が決定します。
Q2. 改定はいつから適用されますか?
A. 発効日は都道府県ごとに異なり、例年10月以降に順次発効します。確定した発効日は厚労省、労働局の公表でご確認ください。
Q3. 最低賃金は正社員にも適用されますか?
A. はい。雇用形態・年齢・性別を問わず、原則として県内で働くすべての労働者に適用されます。労使が合意しても、最低賃金未満の賃金は認められません。なお、特定の産業について特定(産業別)最低賃金が定められている場合は、地域別最低賃金と比較して高い方の最低賃金額を適用します。
Q4. 月給制の従業員はどうチェックすればよいですか?
A. 最低賃金の対象となる賃金(精皆勤手当・通勤手当・家族手当、割増賃金、賞与等を除いた額)を月平均所定労働時間で割って時間額に換算し、最低賃金額と比較します。詳細は厚労省のHPでご確認ください。
※本コラムの内容は執筆時点の法令・公表情報に基づいています。各都道府県の改定額・発効日は今後の手続により確定・変更される場合がありますので、最新の情報は厚生労働省・各労働局の公式サイトでご確認ください。
ご不明な点がございましたらお気軽にご連絡ください。
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