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労務トラブルQ&A~「辞めるのをやめます。」退職の撤回はできるのか?~

Q.ある従業員から「月末で会社をやめようと思っています。」と申し出があり、弊社社長が退職届を受け取り、退職を了承しました。それから2週間後、代わりの人材採用の準備も進めていたところ、当該従業員より「やっぱり退職を撤回して、引き続き働きたい。」との申し出がありました。弊社としては、次の採用も決まっているので困っています。退職の撤回に応じる必要があるのでしょうか?

A.退職の承諾権限を持つ者(社長)が、退職について承諾していますので、原則撤回に応じる必要はありません。なお、このようなトラブルを避けるためにも、退職届提出時のルールを明確にしておくと良いでしょう。

・退職の意思表示の種類

少し細かい話になりますが、退職の意思表示には次の2つのパターンがあります。

①「辞職」・・・従業員から雇用契約を一方的に解約する意思表示。辞職の場合は使用者に退職届が提出された時点で退職の効力が生じ、従業員から撤回はできません。

②「合意退職」・・・会社との合意によって労働契約を終了したい旨の申し出をすること。合意退職の場合は、退職を承諾した意思表示が会社から従業員に到達したときに退職の効力が生じます。そのため、会社が退職を承諾していない場合は、従業員から退職の撤回が可能となります。

なお、口頭で退職の意思表示があった場合は必ず書面で提出してもらいましょう。また、書面の名称について、「退職届」の場合は①の「辞職」を指し、「退職願」の場合は②の「合意退職」になるという説明を聞くこともあります。しかし、実務上は実態で判断しますので、「退職届」が提出された場合も一般的には②の合意退職の申し入れと判断して対応するほうがよいでしょう。

・退職承諾の注意点

上記の通り、合意退職の場合は会社が退職を承諾する必要があります。会社の承諾については、「だれが退職承諾の権限を有しているのか?」が問題となりますが、中小企業の場合は、基本的には社長がその権限を有していると考えるのが一般的です。(会社規模が大きくなれば人事部長、工場長が権限を持つケースもあります。)

つまり、退職承諾の権限を持たない所属長が退職届を受け取ったまま放置していると、当該従業員による退職の撤回が可能な状態になっていると言えます。このため、退職届を受け取った場合は、速やかに退職承諾権限を持つものに渡すようにルール化しておくほうがよいでしょう。具体的には以下の点などを社内でルール化します。

・退職届は書面で提出してもらう

・退職届を預かった場合は、退職届は速やかに退職承諾権限を持つ者(社長など)に渡すようにする

・退職承諾権限を持つ者は、退職の承諾を行う(退職承諾書を従業員へ渡す)  など

※退職承諾書のひな型ダウンロードはこちら

なお、メールで承諾した旨を伝えるケースもあると思われますが、この場合は退職承諾権限を持つものから送信する必要があり、注意が必要です。

・まとめ

今回は「退職の撤回」をテーマに解説しましたが、特に小規模な会社だと退職届(願)を書面で出してもらっていないケースもまだまだ多いように感じます。また、従業員から退職意向の申し出はあったが、本人から退職日の指定がないので、会社が退職日を勝手に決めてしまうケース(退職の申し出があった日を退職日にするケースが多い)が時折見受けられます。後になって当該従業員から「会社から解雇された。」とトラブルになるケースがありますので、特に在職中にトラブルを起こしていた従業員の場合、退職の意思表示があった時点で、速やかに退職日が記載された退職届を提出してもらうようにしましょう。

従業員の退職は、特に中小企業にとっては大きな問題です。トラブルになりやすいタイミングでもありますので、退職時の流れは明確にしておきましょう。

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