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労務トラブルQ&A~社員の兼業・副業は禁止できる?~

Q.弊社の従業員より「副業をしたいと考えているのですが、うちの会社は副業OKですか?」と問い合わせがありました。弊社の就業規則を見ると、服務規律に「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」と定められていますが、許可があれば副業ができるように読めます。何を基準に副業を許可または禁止すればよいのでしょうか?

A.副業を認めるかどうかは、主に以下の基準で判断します。
①自社の業務に支障が出るか?(疲労の蓄積や労働時間の制約など)
②営業秘密の漏洩リスク
③競業となるか? など
トラブルを避けるためには、就業規則で許可申請の流れや判断基準を明記しておくと良いでしょう。

・副業・兼業とは?

実は「副業」、「兼業」に法律上明確な定義はありません。例えば「夜、コンビニで働く」というように他社に雇用される形態も考えられますが、フリーランスとして業務委託でWEBサイトの作成を請け負ったり、農業収入や家賃収入を得ることなども副業・兼業に該当していると言えます。
上記のように、一口に副業、兼業と言っても様々なケースが考えられますので、注意が必要です。

・副業・兼業は一律に禁止できるのか?

副業、兼業を一律に禁止できるか否かについて、過去の裁判例を見ると、裁判所は「労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由である」ことから、一律の禁止は合理性を欠くと判断する傾向にあります。この点からも、副業・兼業の事前許可制を就業規則に明記し、個別具体的に許可するか判断するほうが良いでしょう。

・副業、兼業を許可する際の留意点とは?

実際に副業、兼業の希望者が出てきた場合、上記回答に記載した許可基準を判断するため、事前に副業・兼業許可申請書を提出してもらい、具体的な業務内容や業務の時間帯などを確認しましょう。
また、今回は詳細を記載しませんが、副業先で雇用される場合、労働時間の管理や労災保険、雇用保険、社会保険についても取り扱いには注意が必要です。
副業・兼業については厚労省からガイドラインも公開されていますので、詳細を知りたい方は以下もご参照ください。

厚生労働省 「副業・兼業」

なお、実務上許可を出した後の副業の状況把握は非常に困難ですが、許可時に遵守事項の誓約書をとる、定期的な報告義務を設けるなどの対策をとることも有用です。

・まとめ

副業・兼業については、「お小遣い稼ぎ」という印象を持たれることも少なくありません。しかし、人手不足や先行きの見えない現代の状況を考えると、個人目線ではスキルアップや人脈形成、企業にとってはイノベーション、離職防止などのメリットも考えられます。
これを機会に副業・兼業についてのイメージを捉えなおし、副業・兼業への自社のスタンスを見直してみてはいかがでしょうか?

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